
私がシステムトレードについて知ったのは株を始めてからだいぶ経ってからのことでした。
それまでの私は、自分の気に入った株を買って放置、値上がりを期待して待つか、投資助言サービスに従ってなんとなく売買をするといった状態でした。
しかし、「ルールに従って機械的に売買する」という手法は海外では一般的なものらしく、システムトレードに関する著作も海外著者を中心に多数出版されています。
裁量トレードに自信の全くなかった私にとって、トレードに何らかの指針と根拠を与えてくれそうなシステムトレードに関心を持ったのは当然のことでした。
では実際にシステムトレードとはどんなもので、どういったメリットやデメリットがあるのか。
簡単な説明になりますが、さっそく中身を見ていきたいと思います。
システムトレード
システムトレードとは、事前に決められた売買ルールに従って機械的にトレードする手法である。
たとえば、25日移動平均線と5日移動平均線のゴールデンクロスで買い、デッドクロスで売り、など。
システムトレードではあらかじめ決められたルールに100%従う。
買いシグナルが出たら100%買いを行い、売りシグナルが出たら100%売りを行う。
トレーダーに拒否権はない。
メカニカルトレード、アルゴリズムトレードとも言う。
その対義語は裁量トレードで、これはトレーダーの自由意志に基づいてトレードする手法である。
裁量トレードではトレーダーはいつ売買を行うか自分で自由に決めてよい。
もっとも、裁量トレーダーも普通は何らかのルールを持って取引を行っている。
ただの直感だけで売買しているわけではない。
しかし、裁量トレーダーは相場の感覚によって売買を調整できる。
「今はもみ合いで方向性がはっきりしないから見送り」とか「上昇に勢いがあるから買い増し」とかを自分で判断できる。
一方、システムトレーダーはシステムが出すシグナルに100%従う。
ある時はシステムに従い、ある時はシステムに従わない、ということはしない。
それをするのは半裁量トレーダーである。
そういうトレードスタイルも間違いではないが、純粋なシステムトレーダーはそれはしない。
そうすることでこのあと述べるシステムトレードのメリットを享受することができる。
システムトレードのメリット
システムトレードのメリットはトレードを自動化できることである。
売買ルールはあらかじめ決まっているので、それをコンピュータ上に組み込んでしまえば、いつ買っていつ売るかはコンピュータが決めてくれる。
自動で注文を出すソフトと組み合わせれば、人間が注文作業を行うこともなくエントリーから決済までコンピュータが行ってくれる。
このブログのタイトルともなっている『トレードは自動売買』が実現できる。
このトレードの良い点は、トレーダーの心理状態、恐怖や欲望によって売買が影響されないことである。
トレーダーの気分が落ち込んでいる時も、体調が悪い時も、暴落の恐怖にパニックになっている時も、システムは関係なく淡々とルールに従って売買してくれる。
これは大きなメリットである。
裁量トレードではトレードの結果はトレーダーの精神状態に大きく依存するのが普通で、トレーダーが恐怖にかられていたり欲望に浮かれていたりすると、適切なトレードができないことがよくある。
自動化されたシステムトレードであればそのようなことはない。
もう一つのメリットは時間の自由で、自動化されたシステムトレードではコンピュータが自動でエントリーから決済まで行ってくれるため、トレーダーは日中に場に張り付いている必要はない。
売買をパソコンに任せて自分は他のことができる。
他の仕事をしていようが、旅行に行こうが、寝ていようが自由である。
これは兼業トレーダー、副業トレーダーには朗報である。
これによってトレード中に受ける精神的負担からも解放される。
特に初心者にとっては、自分のエントリー後に場中の上下する価格変動を見続けることは大きな精神負荷がかかる。
システムトレードであれば場を見る必要もない。
システムトレードのデメリット
システムトレードにはデメリットもある。
システムトレードのデメリットとしては、売買ロジックの開発に時間が掛かることである。
将来に渡って安定して稼げる戦略を開発するためには、検証が欠かせない。
売買戦略の作成にあたっては、過去データを使っての売買シミュレーションを行い、有効な売買ルールを探すことになる。
そして、たとえ過去データに当てはめて有効だった売買ルールでも、現実の未来の相場に当てはめて有効とは限らない。
長年にわたって実際に利益を出すシステムを作り上げるには、簡単には変わらない相場の特徴をつかんだ根拠のあるルールを採用する必要がある。
それには経験が必要。
さらに、売買ルールによっては実際の運用中に大きなドローダウンがある。
時にドローダウンが60%にもなる場合もあるが、それを超えるとまた利益を出し、長い目で見ると右肩上がりでプラスの利益をもたらすシステムもある。
しかしながら、売買ロジックに対する深い理解と自信がなければ、大きなドローダウン時に利用を継続することは難しく、途中でそのシステムに従うことを放棄してしまうことになる。
システムトレードでは市販のトレード戦略を利用できることもあり、株、先物、FXでは売買のシグナル配信サービスやトレードソフト用の売買ロジックを購入できる。
ただし、それら市販のものを使っても利益が出るとは限らず、ドローダウンに耐えられなくなってやめてしまう危険もある。
注意が必要である。
システムトレードは儲かるか
システムトレードをやってみようという人の最大の関心事は、システムトレードは実際に利益を出せるのか?ということだろう。
これについては、「出せる人もいる」とは言える。
実際に様々なブログでシステムトレードで利益を出している人の日々のトレードが報告されている。
また、自分自身も実際にやってみて、ある程度の利益が出ている。
しかしながら、全ての相場状況で長年にわたって利益を出し続けられるかというと、簡単にはいかない。
ドローダウンに気持ちがくじけそうになることもあれば、今までうまく機能していたロジックがどうもうまく機能しなくなることもある。
上昇相場でうまく機能するロジックもあれば、下落相場で機能するロジックもある。
一度システムを作ってしまえば安泰、というわけでもなさそうだ。
しかし、自分のように裁量トレードでは全くやっていけそうにない人間には向いていると感じている。
自分自身は、場中の上げ下げを見ながら機敏に仕掛けと手仕舞いをするような技量もメンタルもない。
しかし、分析と検証、システム開発と運用ならできる。
そういうわけで、自分としては今後もこの道を追求していくつもりである。